アート好きでミュージアム情報に詳しい楓は、
地図にしたがって、まず東京国立近代美術館へと若者を案内した。

「そういえば、名前をまだ聞いてなかったよね？」
「一ノ瀬 拓磨と申します。楓さん、ご迷惑をおかけしてすみません」
「ううん、これも何かの縁だから。
未来人は冷たい、なんて思われたくないしね（笑）。」
「人の温かさは変わってないんですね（笑）。街の変わりようには驚きましたが」
「そうでしょうねー。あ、でもこの美術館は皇居の前にあるから…
皇居は100年前とそう変わらないんじゃない？」
「皇居と呼ぶんですね、今は。大正では、宮城きゅうじょうや皇城こうじょうなどと呼んでます。
たしかに、あまり変わってないようですね」
「緑が多くて、気持ちいいよねー」

2人は所蔵作品展「MOMATコレクション」のチケットを購入し、展示室へと向かった。
「この美術館は、19世紀末から現代の作品を収集してるんだって。
　まさに、この100年間の美術の変化がよくわかりそうじゃない？」
「それはワクワクしますね！」
「こっちも見てみようよ、最初の謎が解けるかも！」

楓は、次の展示室へと拓磨を引っ張っていった。